こんにちは、ビズジーンマガジン編集部です。
本日は、アルコール遺伝子検査に関するトピック「アルコールパッチテストの有用性とその限界」について述べていきたいと思います。
アルコールに対する強さの判定に対して長年使われてきたアルコールパッチテスト。簡便で低コストなこの方法は、多くの人々に親しまれてきました。
しかし、現在では、精密で信頼性の高いアルコール感受性遺伝子検査が可能になりました。当社で開発したアルコール感受性遺伝子検査も、近年非常に検査数が増えています。
今回は、アルコールパッチテストの特徴、メリットを踏まえつつ、なぜ私たちがアルコール遺伝子検査をおすすめするかについて、関連する文献を踏まえた上で3つの理由を紹介したいと思います。
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アルコールパッチテストの特徴・メリットについて
アルコールパッチテストは、アルコールを含んだパッチを皮膚に貼付した時の皮膚の赤みを見ることで、アルコール分解能力を判断する方法です。
パッチテストで皮膚が赤くなる人は、お酒に対する耐性が弱く、皮膚の色味が変わらない人はお酒に強いということがわかります。
アルコールパッチテストのメリットは3つ
・簡便性:短時間で結果が得られます。
・低コスト:大規模スクリーニングに適しています。
・精度:検査精度は約90%とされ、一定の正確性の基準には達成していると思います。
このようにアルコールパッチテストは、アルコールの代謝には個人の体質が関連していること。
つまり、人間は生まれながらにお酒に対する強さが決まっていることを教育・啓発するためのアイテムとしては非常に価値があると考えています。
一方で、この記事ではアルコールパッチテストの限界についても述べていきたいと思います。
アルコールパッチテストの限界と遺伝子検査をおすすめする3つの理由
理由1:自分ごととして考えた時に、約90%の正確性では物足りない
アルコールパッチテストの全体的な正確性は約90%と言われています。
一見悪くない数字に見えます。
しかし、こう考えてみたらどうでしょうか。
「100人中10人が誤った結果を得る可能性がある。その15人のうちの1人が自分かもしれない。」
このように考えると、自分の健康に関わる重要な情報として、この90%という数字が十分と言えるかは難しい所です。
健康管理において、より高い精度を求めるのは当然のことです。自分ごととして考えた時に、90%の正確性では物足りないという意見もあります。
そう考えた時に、正確性の高いアルコール遺伝子検査でより信頼性の高い結果を得てほしいというのがアルコール遺伝子検査をおすすめする理由です。
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理由2:特定の遺伝子型を持つ方(ADH1Bが低活性の方)は、パッチテストで正しい結果が得られない可能性が高い
(すいません、ここでは少し難しい話をします。)
アルコールの分解は
①ADH1B:アルコール→アルデヒドの反応に関わるアルコール分解酵素
②ALDH2:アルデヒド→酢酸の反応(アルデヒドの分解)にかかわるアルデヒド分解酵素
という2つの酵素が関与します。
そして、その機能の個人差によりアルコール代謝能力(いわゆるお酒の強さ)が変わります。
一般に、アルコールパッチテストはその中のALDH2(アルデヒド分解酵素)の働きを見るもので、ALDH2が低活性・不活性の方はパッチテストで皮膚が赤くなることが知られています。
一方で、林田ら1) の文献によると、ADH1Bが低活性の被験者では、ALDH2の遺伝子型によらずアルコールパッチテストによる陽性反応(赤色反応)が見られにくいという結果が得られました。
例えば、アルコール代謝が遅いADH1B低活性、ALDH2低活性の方々、いわゆる「なみ」タイプの人は、本来はパッチテストで陽性反応が出てほしい被験者群なのですが、実際に陽性反応が出た人はわずか8.7%でした。
この「なみ」の遺伝子タイプを持つ人は少ないので、アルコールパッチテスト全体の正確性に与える影響が少ないのですが、特定の遺伝子タイプの人ではパッチテストの結果が不正確になってしまうことは覚えておいた方が良いと思います。
また、この「なみ」タイプの方は飲酒による健康リスクが非常に高い群でもあります。遺伝子検査ではこれら2つの遺伝子をほぼ100%の精度で判定が可能です。この差は、健康管理において非常に重要と考えています。
参考:当社の遺伝子検査による結果のカテゴリー
理由3:加齢に伴い、アルコールパッチテストの正確性が落ちる(50代男性では正確性が約70%)
アルコールパッチテストに関する知見として、加齢に伴いアルコールパッチテストの正確性が低下するという報告があります2)。
今回紹介した正確性85%というデータは、女子大学生942 名を対象とした研究データなのですが、他の研究で、50歳以上の男性においてアルコールパッチテストの正確性は70%に留まったというデータが報告されています2)。(加齢と共に反応性が低下したことが原因とされています。)
人生100年時代です。ご自身の健康状態が気になる年齢になったら、ぜひ遺伝子検査で正確な結果を得ていただき、生活習慣の改善につなげていただく事をお勧めします。
遺伝子検査の結果は、一度測れば生涯変わりませんので、長期的な健康管理に活用可能です。
まとめ:アルコールパッチテストと遺伝子検査の使い分け
アルコールパッチテストは、その簡便さから初期スクリーニングには適しています。しかし、より正確で詳細な情報が必要な場合や、長期的な健康管理を考えている方には、遺伝子検査をおすすめします。
高精度: 「なみ」タイプを含むすべての遺伝子型を正確に識別
信頼性: ほぼ100%の精度を提供
有効性: 加齢の影響を受けず、生涯にわたって活用可能な情報
アルコールに対する感受性は、あなたの健康に直接影響を与える重要な要素です。より正確で信頼性の高い遺伝子検査を検討する価値は十分にあると考えています。
自分自身と大切な人々の健康のために、一度遺伝子検査を検討してみてはいかがでしょうか。
最近は、家族みなさんでアルコール診断を受けるケースやプレゼントとして送るケース、そして企業、自治体が主体となって適正飲酒の一環としてアルコール体質検査を行う例も増えてきています。
実際にアルコール遺伝子検査キットを複数購入する方やお得な2個セットを購入する方も増えてきています。
今回紹介した商品は
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製品に関する問い合わせやパンフレット等の請求、取材等は(https://visgene.com/inquiry/) までお願いします。ご連絡お待ちしております。
参考文献:
1)林田真梨子ら、女子大学生におけるエタノールパッチテストの反応性とALDH2 およびADH1B 遺伝子多型との関連.日衛誌(Jpn. J. Hyg.),70,134–138(2015)
2)Yokoyama A et,al. Reliability of a flushing questionnaire and the ethanol patch test in screening for inactive aldehydedehydrogenase-2 and alcohol-related cancer risk.
Cancer Epidemiol Biomarkers Prev (1997);6:1105–1107.
マガジン担当者:尾形 勝弥(薬剤師・中小企業診断士・健康経営アドバイザー) 企業理念である「ミル・シル・カエル」のテーマのもと、皆さんがこのマガジンを見て新しい事を知って、日々の行動を変えるきっかけとなるような面白くてタメになる記事を書こうと奮闘しています。ビズジーン創業メンバーの一人。アルコール分解型遺伝子検査の結果は高活性型の「わく」でした。