会社の定期健康診断を自分の行動を変えるきっかけに【要再検査を無視しない!無視させない!(健康経営のポイント)】

子供の頃、通信簿を開く瞬間のドキドキを今でも覚えていますが、大人になってもらう健康診断の結果を開く際は、また違った意味でのドキドキがあります。

そしてそこに「要再検査」「要精密検査」と書いてあった時は、そのままレポートを閉じて現実逃避したくなるという方も(以前の私も含め)、多いのではないかと思います。

一般に、定期健康診断は9月~12月に実施されることが比較的多く、定期健康診断の結果が年末に返ってきて、「要再検査」「要精密検査」と表示された際、その時は一瞬ショックを受けるものの、年末年始のバタバタや普段の業務の忙しさに追われて、すっかり忘れてしまうことも多いようです。

実際、「再検査」の結果がでても、その後二次検査に行かない人の割合は約25%にのぼるとの報告もあります。

当社(株)ビズジーンは一般向けや法人の方向けに、アルコール代謝遺伝子や葉酸代謝遺伝子の検査キット、フェムテック関連の検査キットのサービスを提供する大学発のベンチャー企業です。また、当社の強みは「次の一歩を促すための結果レポート」です。

ただ、当社としても遺伝子検査サービスを展開する中で、「ただ検査結果を返すだけでは行動につながらない」という事を痛感してきました。

そこで、本記事では会社の定期健康診断を自分や従業員の行動を変えるきっかけにするために、重要なポイントを3つ紹介したいと思います。

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人間には「自分だけは大丈夫」と考える心のメカニズムがあり、心理学ではそれを「正常性バイアス」といいます。

「正常化バイアス」は、最悪の事態を想定せずに「まあ、大したことないな」と考えることです。
この考え方が人間に備わっていることで、日々の余計な不安や余計な心配事を防ぐというメリットがあります。

過剰なストレスをためないようにする人間古来からのメカニズムなのかもしれません。(「心配事の9割は起こらない」というベストセラー本もありましたね)

一方でこの「自分だけは大丈夫」という考え方は、大きな災害が起きた時の逃げ遅れや、深刻な病気の見逃しにつながってしまう原因となります。

つまり人間が本来有する「正常化バイアス」を考慮して

・悪い結果を信じたくないのは普通なこと
・ただ結果を返すだけでは行動につながらない

まずこのことを出発点として、会社の定期健康診断や普段の健康経営に取り組む必要があります。
とにかく、「自分だけは大丈夫」という考え方をいかに変えるか(変えさせるか)が重要です。

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定期健診を次のアクションにつなげるためには、検査結果の意義づけ、つまり「この検査結果が何を意味するか」を知っておくことが非常に重要です。

検査結果の数値が何を意味して、どんな病気につながるかを知っておくことが自分の行動変容につながります。

たとえばピロリ菌の感染について考えてみた時に、
① 漠然と「ピロリ菌は除去した方がいいらしい」と考えている人
②「ピロリ菌の陽性者では、胃がんリスクが5倍となる」という国立がん研究センターの研究報告を知っている人(引用元URL:https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/287.html)

この両者ではその後の対応は全く異なると思います。②の人の方が積極的にピロリ菌の治療を行うのではないでしょうか。

それに似た話として、自分の服用薬の効能や自分の疾患を理解している患者の方が、そうでない患者よりも薬の飲み忘れが少ないとも言われています。

つまり、正しい知識を持って普段から意識づけを行う事が、いざという時の行動につながるという事です。

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あとは、再検査になった時の具体的なアクションを決めておき、すぐに行動する事も大事です。

人間は忘れる動物です。思い立ったらとにかく早く行動する事が大事です。

「エビングハウスの忘却曲線」によると、人の脳は1度学習したことを1時間後には56%忘れ、1日後には74%、さらに1週間後には77%、1カ月後には79%を忘れると言われています。

ちなみに、私は今回「再検査」の通知をうけてしまったのですが、その日の昼休みに病院の再検査予約を取りました。

健康は失って初めて気づくと言います。しかし、定期的なメンテナンスにより、行動を変えるきっかけを多く作ることが大事だと考えています。

今は、従業員の健康増進を通じて会社の生産性向上につなげるという「健康経営」の考え方が広く浸透してきました。

要再検査を無視しない、そして無視させないような仕組みづくりをして、会社の定期健康診断を自分の行動を変えるきっかけにしていただければと思います。

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マガジン担当者:尾形 勝弥(薬剤師・中小企業診断士・健康経営アドバイザー)
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